クレジットカード業界に就職・転職したいという方は必見です。
カード業界5年目の現役法人カード営業マンが、クレジットカード業界のメリット・デメリット、実際に働いて満足していること、後悔していることをご紹介します。
カード会社に就職をお考えの方にこそ、榎本まみ著『督促OL 修行日記 (文春文庫)』を読んで頂ければと思います。私自身もカード会社に就職して、業界のリアルを勉強するために読みました。
クレジットカード会社のコールセンター部門(債権回収)に配属されたOLが、度々の督促にも悪びれる様子を見せない不届き者たちと悪戦苦闘する姿が、ユーモア交じりに紹介されています。
楽天。相も変わらず新卒社員研修として30人のカード契約営業をやらせとんのか。凄まじい世界だ。
— SIX (@sieiri3) May 12, 2021
カード会社に就職したい方へ
- 【メリット】参入障壁が高く、安定した業界
- 【メリット】キャッシュレス化の波に乗れる
- 【メリット】女性も男性も働きやすい
- 【デメリット】QR決済の猛追を受ける
- 【デメリット】法律や政策の影響を受けやすい
【メリット】参入障壁が高く、安定した業界
クレジットカードのビジネスは、参入障壁が高いことが特徴です。
たとえば、アパレル業界等の小売業界であれば、商品を仕入れて販売すればビジネスが成り立つため、参入ハードルが低いといえます。
一方、クレジットカード業界は、貸金業登録、個人情報・信用情報の厳重な管理、システム整備など、クレジットカード業者として会社を設立するには様々なハードルがあります。そのため、新たな競合が発生しにくいです。
「いやいや、QR決済のようなキャッシュレス事業者がたくさん出てきてるでしょ。参入障壁は低いんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃいますよね。鋭いご指摘です!
確かに、最近はキャッシュレス事業者が乱立していますね。しかし実際は、各カード会社が個人情報の管理や決済システムの提供をしていることも多いのです。
たくさんあるキャッシュレス手段も、裏方を見ると実はクレジットカード会社にたどり着きます。これまで現金派だった人がQR決済に移行すればするほど、クレジットカード会社の収入も増えていくという美味しいビジネスです。
【メリット】キャッシュレス化の波に乗れる
2025年までに国内のキャッシュレス比率を40%に引き上げるという政府の方針のもと、業界全体で追い風が吹いています。クレジットカード業界も例にもれず、発行者数の急増でカードの生産が一時追いつかなくなることも。
【メリット】女性も男性も働きやすい業界
一般的に、女性の多いコールセンター系の会社や生命保険系の会社は働きやすいと言われています。
産休や育休の制度をきちんと整えなければ、女性社員を確保することが難しいためです。こういった企業は産休や育休のみならず、時短勤務やフレックス勤務といった体制も整備しようと努力しているため、女性も男性も働きやすい環境になっていることが多いです。
クレジットカード業界も、大半はコールセンターを持っているため女性社員の比率が高いです。すなわち、女性も男性も比較的働きやすい業界といえます。
女性多い職場くっっっそ面倒いわ…はぁ…
— ひより (@atbsm_chu) April 14, 2020
【デメリット】QR決済の猛追を受ける
現金派がQR決済に移行すればクレジットカード業界の収入も増えると上述しました。とはいえ、クレジットカード利用者がQR決済に移行すれば、カード会社全体の収入は減ります。
4月16日(木)から、全国のKFC店舗でQRコード決済を順次導入
~お客さまの買いやすさ向上のため、キャッシュレス決済手段を拡充~https://t.co/1NVpSoOEvo pic.twitter.com/E91eIcaaT0— 現金いらず (@nogenkin) April 16, 2020
QR決済の伸び率がクレジットカードの伸び率をはるかに上回る昨今、クレジットカード業界も生き残りをかけてあらゆる打ち手に取り組んでいかなければならない危機感に煽られています。
【デメリット】法律や政策の影響を受けやすい
クレジットカード会社は「犯罪収益移転防止法」「会資金業法」「割賦販売法」等、様々な法律に規制されています。そのため、数年に一度は発生する法改正のたびに運用方法を変更しなければなりません。
また、昨今の政府主導のキャッシュレス化施策では、政府の方針が決まってから開始までのスケジュールが短いことが多いため、移行期間は超多忙になります。
カード会社で働くメリット・デメリット
【満足】知名度が高いという優越感
クレジットカードの中には、他の企業とタイアップして作る「提携カード」というものがあります。この「提携カード」は比較的少人数で立ち上げることが多いです。
提携カードが完成した暁には「自分がつくったあのカードが世間に知れ渡っている!」とちょっとした感動を覚えることができます。発行者数が伸びれば伸びるほど、さらに優越感や達成感があります。
【満足】圧倒的な働きやすさと福利厚生
誤解を与えかねない表現ですが、カード業界はコスパ良くお給料をもらえる会社が多いです。
そもそもコールセンターなので職場自体が「3密」なんですわorz
このご時世なのでクライアントも応答率低下を容認してくれていて、それに合わせて・営業時間の短縮
・出勤人数を減らす
・3時間ずつ交代で出勤(完全入れ替え制)で回すことが出来てるので、業界内でも超絶ホワイトに認定されてますw
— 大門圭介/大門圭介℗ (@k_daimon) April 19, 2020
年収が高い企業はたくさんありますが、その分ハードな労働環境を強いられることもあります。カード業界は、給与水準・労働水準ともに高く、業務量対比の給与が多いため満足感が高いです。
【満足】キャッシュレス事情に強くなる
日ごろからキャッシュレスに触れている分、キャッシュレス事情に強くなり、お得にお買い物ができます。
私を含めて、新しい決済手段が出るととりあえず使ってみるという社員が多いです。また、あらゆる決済手段のキャンペーン情報を交換しあうため、その時に一番お得な決済手段で買い物をすることができています。
【不安】クレジットカードの先行きは厳しい?
どの業界にもいえることですが、やはり先行きは厳しいです。これだけQR決済が増加していると、いつかはクレジットカードが衰退してしまうのではないかと不安になります。
また、加盟店手数料も徐々にですが取りにくくなっており、カード会社の収益見通しは今後厳しくなることが予想されます。銀行の手先のごとく使われる日も遠くないかもしれません。。
クレジットカード手数料 日本は欧米の10倍取られていた https://t.co/wALrCoKQfs
日銀や財務官僚は退官後に金融機関に天下りし、下っ端はサラ金やカード会社に就職します。このため政府はカード会社間に競争が起きないようにし、全社横並び手数料にしました。— ジュネス (jyunesu) (@jyunesu_) January 2, 2019
【総括】仕事の楽しさは普通です・・笑
「何時間その仕事をしていても飽きない。楽しい」と言いながら働く友人がいます。私は正直この感覚が分かりません!(笑)
没頭できるほどの専門性はなく、良くも悪くも誰でもこなせる業務が多いのではないかと思います。そのため、周囲を見ても仕事人間というよりは、ワークライフバランスを重視する人が多いです。
就職難易度ランキング・各社の評判
|
AMEX |
JCB |
三井住友カード(2019年3月) |
三菱UFJニコス(2019年3月) |
楽天カード |
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売上高(億円) |
– |
3,100 |
2,800 |
3,000 |
2,700 |
従業員数 |
933人 |
4,333人 |
2.546人 |
3,111人 |
1,394人 |
採用人数
|
11~15名 |
100名程度 |
50名程度 |
80名程度 |
25名程度 |
勤務地 |
東京 |
東京または各支社(札幌・仙台・大宮・名古屋・大阪・広島・福岡) |
東京・大阪 |
東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・仙台 |
東京・福岡 |
就職難易度ランキング |
1位 |
2位 |
3位 |
4位 |
5位 |
アメックス「働きやすさ」
アメリカン・エキスプレスは、富裕層向けのハイステータスなクレジットカードで有名です。
「働きがいのある会社」ランキングでは7年連続上位に選出されており、ダイバーシティを大事にしている社風です。外資ならではの成果主義の側面もある一方で働きやすさもあり、主体性をもってのびのびと働きたい人に適しています。
2019年4月入社の新卒採用を行っています。アメックスの次の100年を私たちと一緒につくり上げてみませんか?会社説明会の詳細はこちらから。https://t.co/qzTPCWtYbh pic.twitter.com/gO2B1SwIb7
— AmexJP (@AmexJP) March 8, 2018
年収は公表されていませんが、目標を達成するとかなりのお給料がもらえるとのこと。私もある人に「営業なら、なんでアメックスに転職しないの?めちゃくちゃ給料貰えるよあそこ」と言われたほどです。とはいえ採用者数は10人前後と他のカード会社に比べて狭き門です。
入社難易度は5社のうち最も高いといえます。
JCB「ビジネスモデルによる収益性の高さ」
ジェーシービーは、国際ブランドの一つ「JCB」を手掛けており、単なるカード発行会社とは収益性の高さが異なります。
カード発行会社は、VISAやJCBのような国際ブランドからライセンスを借りて各カードを発行しています。そのため、VISAやJCBに対し、ブランドフィーを支払わなければなりません。
ジェーシービーはカード発行会社でもありながら国際ブランドでもあるので、この「ブランドフィー」を収益につなげることができます。そのため、単なるカード発行会社よりも収益性が高いといえます。
また、ジェーシービーは海外拠点もあるため、カード業界で働きたい、かつ海外に行きたい方はジェーシービーをおすすめします。
JCBに入社したらどうなるって?
天国が待ってるさ(ニヤリ) https://t.co/C6ZkPfTkLb— オキナワのパパさん/沖縄での転職・育児 (@motorikuokinawa) June 9, 2018
三井住友カード「バランスの良さ」
三井住友カードは、日本で初めて「VISA」の取り扱いを始めた企業です。
「三井住友VISAカード」で有名ですが、正式な社名は「三井住友カード」であり、現在はMasterCardの取り扱いもしています。三井住友フィナンシャルグループの一社で、背景に銀行がいることで資金力が高く、安定した企業です。
採用人数は50名程度と、AMEXほどではありませんが狭き門。拠点は東京・本社の二本社制をとっており、ほとんどの社員が東京か大阪のどちらかに勤務しているとのこと。
転勤が少なくそれなりの年収が貰える企業は意外と少ないので、ワークライフバランスを重視したい人におすすめです。
【三井住友カード】入社1年目からの仕事内容がわかる社員紹介記事をチェック!https://t.co/SX49mLHAPO
— 【公式】Recme(レクミー)/ 旧帝大早慶就活支援サービス (@recmeJP) June 7, 2017
三菱UFJニコス「ネットワークを活用したビジネス」
三菱UFJニコスは、メガバンクの中でも最大の利益・総資産を誇る三菱UFJの傘下のカード会社で、カード業界でも三井住友を凌駕しトップクラスの売上高を誇っています。
三井住友カードと異なる点としては、農林中央金庫やJAバンク、地方銀行や地方の事業会社と協業し決済のネットワークを広げているという部分です。キャッシュレス化は日本全体で進んではいるものの、依然として都市部と地方では浸透率に差がある状態です。
まだまだ開拓の余地のある地方都市にいかに入り込めるかが重要な中で、日本全国に支社のあるニコスは業界の中でも優位性があります。
これまでGO-NETジャパンのCEOだったMUFG副社長の亀沢宏規氏は会長となった。MUFGやカード子会社の三菱UFJニコスの社員約50人を1日付で東京・日本橋の拠点に集約。システム開発や営業の担当者らを集め、早期の事業立ち上げをめざす。 #NewsPicks https://t.co/KKRZ63egJY
— Taka (@takachan1019) August 1, 2019
楽天カード「メガベンチャーならではのスピード感」
楽天カードは、近年カード会員数が爆増している楽天カード。楽天は「メガベンチャー」と呼ばれており、様々な事業に挑戦し、「楽天経済圏」は急成長しています。
楽天で働く友人は、「飽き性にはもってこいの会社」とのこと。「楽天カード」で就職したとしても、そのあとやりたいことが出てくれば、他の事業に従事することも可能なのだとか。
就職活動時点では分からない自分の適性は、社会人になってから発見できることも多いため、このようにいろいろな事業に取り組めるチャンスがあるのは嬉しいですね。
今なら「楽天カード」に就職したい
もし今わたしが就職活動をするとしたら、楽天カードに就職したいですね!
就職活動をしていた頃は、安定性ばかり気にしていました。しかし、社会人になって5年が経つと、若いうちは福利厚生や年収よりも、いかに30代以降の自分の仕事の幅が広がるか、という目線で就職活動をすればよかったと後悔しています。
楽天カードはメガベンチャーならではのスピード感があります。新しい部署ができては消え、できては消え、とトライアンドエラーを繰り返しています。このスピード感は他のカード会社にはありません。20代のうちにいろいろな経験ができる楽天カード。うらやましい限りです!
某クレジットカード会社で法人カードの審査部門を経て、現在は法人営業をしています。経費精算に手間が掛かる法人こそ、キャッシュレスに取り組むメリットが大きいと思います。