皆さんはクレジットカードの「5大国際ブランド」をご存じでしょうか?
Visa、MasterCard、JCB、American Express(AMEX)、DinersClubの5つが「5大国際ブランド」と呼ばれています。これから5回にわたって、それぞれのブランドをご紹介していきます。
シリーズ第3回はAmerican Express(以下、アメックス)についてご説明します!
アメックスの国際ブランド調査
アメックスは、アメリカ発祥の国際ブランドです。年会費が他のカードに比べて高く、「富裕層向け」というイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。
実際に1枚あたりの利用金額を世界シェアNo.1のVisaと比べると、いかに少数の富裕層がカードをたくさん使っているかが分かります。
|
Visa |
アメックス |
---|---|---|
会員数(億枚) |
340 |
1.12 |
取扱高(億USD) |
76.7 |
10.7 |
1枚あたり取扱高(USD) |
0.2 |
9.6 |
1枚あたりの取扱高を比較すると、Visaは0.2USD、アメックスは9.6USDでVisaの42倍にもなります。それぞれ金額が小さいのは、「発行したけど使っていない」という会員も含んでいるためです。
アメックスは、限られたカード保有者が多額のカード決済をしているということになります。恐るべし、アメックス会員……!
アメックスブランドの法人カードはこちら
カード名 | 年会費 | 追加カード年会費 | 審査の通りやすさ |
---|---|---|---|
アメックスゴールド | 36,300円(税込) ※初年度無料 |
13,200円(税込) | ★★★☆☆ |
アメックスビジネス | 13,200円(税込) ※初年度無料 |
6,600円(税込) | ★★★★☆ |
セゾンプラチナ | 29,700円(税込) |
3,300円(税込) | ★★★★☆ |
セゾンコバルト | 1,100円(税込) |
無料 | ★★★★★ |
【OK】アメックスの強みとは?
付帯サービスが充実している
年会費が高い分、それに見合った付帯サービスが充実しています。
ゴールド会員向けイベントの開催や、レストラン・ホテル・旅館等アメックスが厳選した350か所以上の施設での優待、国内外200以上の対象レストランを2名以上利用で1名分のコース料理が無料となるゴールドダイニング「招待日和」など、独自の様々なサービスがあります。
大阪駅前第3ビル32階の中納言で伊勢エビのコース頂きますー
アメックスの招待日和で半額でーす pic.twitter.com/WH5RilIzym
— なかぽん (@nakapon917) February 10, 2020
タッチでスマート決済
Visa payWaveやJCB Contactlessと同様、アメックスもカードやスマートフォンを決済端末にかざすだけで支払いができるタッチ決済をすることができます。カードの券面にwi-fiが横向きになったようなマークがあり、かつ店舗側でアメックスのタッチ決済に対応していれば支払いができます。
日本ではローソン・マクドナルド・すき家などが対応済です。VisaやMastercardと比べると利用できるお店は少ないですが、店頭にアメックスのタッチ決済のロゴが貼ってある場合はぜひ「アメックスをタッチで」と店員さんに伝えてください!
https://twitter.com/AmexJP/status/1152133530694144000
審査基準が甘い
意外かもしれませんが、アメックスは法人カードの審査は他のカード会社よりも基準が緩く、発行のハードルが低いです。というのも、一般的に法人カードを申し込む際は「設立3年以上」という条件が付いてしまいます。
しかし、アメックスは設立間もない法人でもカードを発行できます。ただし、発行はできても枠は小さく設定されます。信用リスクが高い法人に対し枠を抑えながら発行することで、貸倒れと売上げのバランスを保っているという仕組みです。
BtoB決済の提供
Visa Business Payと同様に、アメックスでもBtoB(企業間)取引に対応したサービスを提供しています。社会信用性が高いといわれるアメックス会員の法人との取引を継続的に行ったり、囲い込んだりすることができるのは魅力的ですね。
サービスの流れとしては、法人がアメックスと加盟店契約(自社の取引先が、自社への支払いの際にカードを使えるようにする契約)をします。このとき、決済時の手数料率を決めます。例えば手数料率が2%で契約をすると、取引先が自社へアメックスカードで100万円支払った場合、2万円を差し引いた98万円が自社に入金されます。
メリット
請求業務、代金回収にかかる時間・コストを軽減できる
請求書の作成、内容の確認、押印、封筒へ入れ郵送、入金確認、入金がなければ督促…アメックスのBtoB決済ソリューションでは、そんな煩雑な請求・回収業務をアメックスが代行します。
貸し倒れリスクを軽減できる
新規顧客や中小零細企業・個人事業主との取引の場合、貸倒れリスクの検討が重要になってきます。しかし、Aアメックスカードで支払いをしてもらえれば、アメックスが代金を立替えて入金してくれるため、貸倒れリスクを見極める必要がなくなります。
営業戦略に活用できる
法人カードを持つ法人にとって、法人間取引をカードで決済できるのは魅力的です。なぜなら、個人の日常利用とは異なり法人間取引は1回の支払金額が大きくなる場合が多く、それだけポイントを貯めることができるからです。そういった法人のニーズに応えることができるため、コンペになった際に他社と差別化できます。
デメリット
手数料がかかる
上記の通り、手数料率が2%だと100万円につき2万円がアメックスの取り分となります。カード決済以外で支払ってもらえれば得られていた2万円が失われることになります。
【NG】アメックスの弱みとは?
利用できる店が少ない
まずは下記の比較表をご覧ください。
|
Visa |
MasterCard |
JCB |
AMEX |
Diners Club |
会員数(枚) |
340億 |
21億 |
1億3,000万 |
1億1,200万枚 |
― |
加盟店数 |
61百万 |
61百万 |
3千万 |
23.3百万* |
26百万* |
利用可能な国や地域 |
200以上 |
210以上 |
23 |
― |
185 |
取扱高(USD) |
76,650億 |
38,140億 |
2,722億 |
10,710億 |
286億 |
(―:非公表 * : 推定)
VisaやMasterCardに比べ、加盟店数が少ないのが分かります。VisaやMasterCardは使えても、「アメックスだけ使えない」という店も多いです。なぜなら、アメックスはVisaやMasterCardと比べて加盟店の負担する手数料率が高いためです。
年会費が高い
アメックスの年会費は、“あえて”高く設定されています。特に付帯サービスは必要ないという法人であれば、わざわざアメックスを選ぶよりは、年会費の安い他のカードを選ぶべきでしょう。
まとめ
アメックスの場合、利用できる加盟店が少ないため、日常的な備品購入や取引用としては使いづらい部分があるそうです。法人カードとして発行する場合は、福利厚生を目的とし代表者や役員用に発行するのが良いかと思います。
某クレジットカード会社で法人カードの審査部門を経て、現在は法人営業をしています。経費精算に手間が掛かる法人こそ、キャッシュレスに取り組むメリットが大きいと思います。