今回は「法人カードの利用限度額を上げる交渉術」をご紹介します。
法人カードの利用限度額を上げる交渉術とは?
法人カードを使っていると「どうも今月は利用限度額を超えてしまいそうだな」「最近は毎月の利用金額が限度額を上回る規模感になってきたぞ」というケースが出てくるかと思います。そんな時には、カード会社と利用限度額を上げる交渉が必要です。
https://twitter.com/llcnayuta/status/1113329500358533121
このやり方で百発百中という交渉術をお伝えしますので、最後までお付き合いください。
増額の申込みには事前準備が大切です
まず、利用限度額の上げ方には2パターンあります。一時的な増額と永続的な増額です。
一時的な増額とは「大きな買い物が控えているから、今月だけ利用限度額を上げて欲しい」「社員旅行で海外に行くから、旅行期間だけカードの枠を増やしてもらいたい」という限られた期間内の増額です。
永続的な増額とは「毎月のカード利用額が増えてきたから、今後は利用限度額を上げて欲しい」という期間の定めを設けない増額です。
法人カード限度額枯渇問題
12月と1月は増やしてくれ— コクチバス (@small_mousebass) December 13, 2019
https://twitter.com/satoru_okubo/status/1205096553720868864
長年カードを利用していれば、カード会社が勝手に利用限度額を増額するのですが、今回はお客様からの申込みを前提に話をします。
利用限度額の増額はカード会社にとってはチャンスの反面、回収できなかった場合のリスクも含まれているので、審査担当者が「このお客様なら増額しても大丈夫だろう!」と思わせるカードの使い方をする必要があります。
- 現金化に適した商品ばかりを購入しない
- 必ず支払い日に全額返済する
現金化に適した商品ばかりを購入しない
油断は禁物!法人カード発行後の途上管理のウラ話で細かくお話したとおり、法人カード発行後も審査担当者の目がギラギラ光っています。審査担当者が何に目を光らせているかと言えば「カードで何を買っているか?」を細かく見ています。
カードの利用内容が交通費や接待費、公共料金の支払いであれば問題はありませんが、現金化に適した商品ばかりを購入した形跡が見つかれば、その後の増額申込みがお断りされるケースもあります。
カードを使って現金化している事実が明らかになれば、最悪の場合にはカードが強制解約になりますので、くれぐれも以下の商品の購入にはご注意ください。
- 金やブランド品
- 新幹線の回数券
- 金券や商品券(Amazonギフト券やGooglePlayギフトカードなど)
- ゲーム機
必ず支払い日に全額返済する
カードを作って間もないタイミングで利用限度額の増額を申込むには、返済実績に問題がないこと前提となります。要するに、借りたら返すができているかどうかです。
基本的に法人カードの支払いは一括返済(マンスリークリア)ですので、引落し日に1円でも不足していればマイナスの評価です。「たった1回」「たった1円」の支払い遅れが、あなたの大切なクレジットヒストリーに汚点を残すことになります。
法人カードの支払いに遅れそうな経営者さんへでは、支払いに遅れた場合のカード会社の対応を書いています。カード会社には甘えも妥協も一切通用しませんので、その辺りはシビアにお伝えしておきます。
一時的な増額申込みはカード発行3カ月後に
一時的な利用限度額の増額を申込む場合は、カード発行3カ月後からが目安となります。
もちろん、毎月の利用実績(カードで何を買っているか?)と返済実績(支払い日に全額返済されているか?)を見て判断されるので、確実にこの2つをクリアしておいてください。3カ月間の実績に問題がなければ、一時的な増額申込みは問題なく通る筈です。
また、一時的な増額申込みでは、最大で約50万円の増額が実行されます。100万円を超える増額は難しいと思われますので、お見知り置きください。
申込みにはカード会社のカスタマーセンターへ電話が必要となり、オペレーターに「利用予定日」「利用目的」「希望金額」を伝えます。その場で合否は教えてくれませんので、後日郵送される判定結果をご確認ください。
オペレーターに伝える利用目的としては「社員旅行で海外に行くため」が最もスマートかと思われます。カード会社から旅行の日程表や利用明細を求められることはありませんので、そこはご安心ください。
増額申込みが可決になると、一定期間のみ利用限度額がアップします。ただし、期間が過ぎれば本来の利用限度額に戻りますので、十分に注意が必要です。
永続的な増額申込みはカード発行6カ月後に
永続的な利用限度額の増額を申込む場合は、カード発行6カ月後からが目安となります。カード発行後の6ヶ月間の毎月の利用実績と返済実績に問題がなければ、永続的な増額申込みが通る筈です。
「たった6カ月間の実績で判断できるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、実はカードの利用実績や返済実績には個人ごとに隠れた行動パターンがあります。
「月に何回外食するか」「交通費にいくら使うか」「毎月きちんと返済しているか」といった項目を6カ月も見ていれば、おおよその行動パターンがわかるので、その辺りも審査の大切な判定材料になります。
また、永続的な増額申込みでは、約50~100万円の増額が実行されます。申込みにはカード会社のカスタマーセンターへ電話が必要となり、オペレーターに「増額を希望する旨」「希望金額」を伝えます。
一時的な増額申込みの場合と同じく、その場で合否は教えてくれませんので、後日郵送される判定結果をご確認ください。
オペレーターとの電話は「淡々と」「用件だけ伝える」
最後にカード会社のオペレーターを味方につければ百人力です。実はオペレーターとの電話が勝負の分かれ目になるケースが少なくありません。交渉の秘訣は「淡々と」「用件だけ伝える」ことを意識してください。
カード会社では、申込みの電話を受けたオペレーターがお客様対応のコメントを残す決まりになっており、審査担当者がオペレーターのコメントやお客様の実績を見た上で増額の可否を判断します。そこではオペレーターのコメント内容が審査担当者の判断に大きな影響を与えます。
私自身が関わった事例としては、あるお客様から利用限度額の増額申込みがあり、利用実績も返済実績も特に問題なかったものの、「電話口でソワソワした口調の言い訳めいた話し方だった」と書かれたコメントを見て「このお客様は何か隠し事があるのではないか?」と考えて、増額のお申込みを却下したことがあります。
実際のところ、利用限度額の増額申込みの可否は審査担当者の判断になります。電話口で焦ったりせかせかしたり、変に媚びた話し方はオペレーターの印象を悪くしてしまい、お客様にとって不本位なコメントが残るので、あくまでも「淡々と」「用件だけ伝える」ことをお勧めします。
まとめ
利用限度額の増額申込みにはいくつかのコツがあります。そのコツさえつかめば、カード会社からスムースにOKの返事がもらえます。
- 法人カードで現金化に適した商品ばかり購入しない
- 必ず支払い日に全額返済する
- 一時的な利用限度額の増額申込みは、カード発行3カ月後が目安
- 永続的な利用限度額の増額申込みは、カード発行6カ月後が目安
- カード会社のオペレーターを味方につけるために「淡々と」「用件だけ伝える」
【略歴】カード会社勤務5年目を迎える営業マン。趣味は転職(社会人10年目で転職6回)、特技は早期退職(最短記録は入社後3時間でクビ)。『転職の神様』なるハウツー本の出版を志すも、会社が副業禁止であえなく断念。昼間はクレジットカードの営業、夜間は法人カードの比較サイト運営に励む毎日。いずれは審査業務に携わるべく、クレディッター(クレジット審査業務能力検定一般コース)の資格取得に向けて勉強中。>> 運営者の詳細なご紹介はこちら