今回は「クレジットカードの未来を考える」をご紹介します。
クレジットカードの未来を考える
日本のキャッシュレス決済比率は、先進各国の中でも低いと言われています。2015年の時点で、韓国では9割近くのBtoC決済がキャッシュレスで支払われているのに対し、日本は2割にも満たない状態でした。
今から5年前のクレジットカード業界の競合相手は現金であり、「いかに現金ユーザーをクレジットカードユーザーへシフトさせるか」がクレジットカード会社の使命でした。
各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015年)【参照】経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」より)
しかし、この数年で状況は一変します。政府主導でキャッシュレス施策が行われ、2025年には同比率は50%近くまで伸びると予想されています。
この50%の中には、クレジットカードのみならず「PayPay」や「LINE Pay」といったバーコード決済も含まれています。かつての「クレジットカード対現金」という構図は、「クレジットカード対バーコード決済」という構造になりつつあります。
- 2019年のキャッシュレス決済総額は約88兆円
- クレジットカードが76兆円(86.4%)
- 電子マネー6.5兆円(7.4%)
- バーコード決済0.5兆円(1%)
- コンビニ決済や銀行振込等(残り)
まだまだクレジットカードの比率が大きいものの、バーコード決済額は5年以内に20倍近く成長すると予想されています。
クレジットカードの敵はバーコード決済?
先ほど「クレジットカードの競合はバーコード決済」と述べましたが、実際はクレジットカードを紐付けてバーコード決済ができるため、一概に敵とはいえません。
バーコード決済増加に伴い、バーコードと紐づけているクレジットカード決済額も増加します。【法人カード営業マンの1日をまとめてみた】にも書きましたが、お互いの相乗効果で決済市場は盛り上がる構造があります。
一方でバーコード決済の中には、銀行口座の紐付がなければ、チャージできないものもあります。また、クレジットカードを紐づけると、バーコード決済を使ったことによるポイント還元が得られないものも存在します。
今後は、バーコード決済の還元キャンペーンも落ち着きをみせることが予想されるため、クレジットカードの決済額が増えることはあっても減ることはないでしょう。
クレジットカードって価値あるの?
バーコード決済や電子マネーなど多くの決済手段がある中で、クレジットカードを持ち続ける意味はあるのでしょうか?
ここで改めて、クレジットカードとバーコード決済についておさらいしてみましょう。ここでいうバーコード決済は、「PayPay」や「LINE Pay」のようなチャージ式のスマホ決済を想定します。
クレジットカード | バーコード | |
---|---|---|
入会審査 | あり | なし |
申込から利用開始までの期間 | 3日~4週間 | 即時 |
海外利用 | 可 | 不可 |
キャッシング機能 | あり | なし |
保険 | 動産保険、旅行傷害保険等 | 動産保険 |
ラウンジサービス | 原則ゴールドで可 | 不可 |
口座から資金が落ちるタイミング | 購入時の20日~2か月後 | 購入時すぐ |
分割払い、ボーナス払い | 可 | 不可 |
両者を比較すると、導入時のハードルは明らかにバーコード決済が低いです。クレジットカードはカード会社による審査が発生するため、申し込んでから実際にカードが手元に届くまで最低3日~4週間程度時間がかかります。
申込みの際の記入事項も多く、正直煩雑さは否めません。バーコード決済はアプリをインストールし、情報を入力し口座設定やカードの設定をすればすぐにチャージし使うことができます。
一方、海外への旅行や出張、「高額なものを買いたい!お金は今はないけど給料日まで待てない!」といった状況であればクレジットカードに軍配が上がります。
ちなみに、欧米圏では最近出てきたVisaタッチ決済が流行っています。お手持ちのVisaのクレジットカードにWi-Fiマークが横向きになったようなマークはありませんか?ビザタッチ対応のお店で支払う際は、カードを機械にかざすだけで支払い完了(非接触決済)。まるで電子マネーのように支払いができます。
また、ポイント面でも一概にバーコード決済のほうが還元率が高いとは言い難いです。バーコード決済で「特定の店舗で利用すると〇%還元!」といったキャンペーンがありますが、同様の施策をカード会社も行っています。昔から行っているあまり、当たり前になっているのかもしれません。
クレジットカードは永久に不滅です!
現役のカード営業マンが宣言するとと胡散臭く聞こえてしまうかもしれません(笑)。
旅行保険や利用限度額の高さ、支払いまでに猶予があるなど、クレジットカードはバーコード決済に比べてメリットが多いため、今後もクレジットカードを持ち続けて損はないでしょう。
バーコード決済にはバーコード特有のメリットもあるので、それぞれ上手に併用することをお勧めします。
某クレジットカード会社で法人カードの審査部門を経て、現在は法人営業をしています。経費精算に手間が掛かる法人こそ、キャッシュレスに取り組むメリットが大きいと思います。